これからの10年は次代を担う若者の育成、選手基盤の強化、体協加盟を果たすべく大会運営実績を着実に積み重ねて行くことが肝要です

2019年6月9日開催の東京都春季ベンチプレス大会開催にあたり、東京都パワーリフティング協会では専用サイトの設置をはじめとした積極的なPRを行っている。1人でも多くの選手に参加していただき、競技普及を目指している同協会において、昨年まで18年間、理事長としてリーダーシップを発揮してきた小森正昭常勤顧問にこれまでの歩みと今後の展望についてお聞きした。

Q:
パワーリフティングに40年以上関わっておられますが、きっかけは何だったのですか?

小森:
高校、大学とテニス部におりましたが、就職後は仕事上の接待で飲み会が多く、2、3年、運動していませんでした。これではいけないと思い、26歳のときに会社に近かった銀座の「山野愛子トレーニングルーム」に通い始めたのがきっかけです。書店でボディビル雑誌を見てビルダーみたいになれればと憧れたものです。

Q:
東京協会理事長在任期間18年という歴代最長の長きに渡ってリーダーを勤めてこられました。理事長ご就任前から選手権役員として活動されてきたとお聞きしています。

小森:
トップ選手のような海外での華やかな選手実績はありませんが、約40年にわたり東京都パワーリフティング協会の選手兼役員として、協会の立ち上げと共にパワーリフティング競技の普及発展を願い、東京都民の健康増進と競技振興促進に寄与してきたことを自負しております。私パワー人生は、昨年(2018年)3月の東京都協会創立40周年祝賀会開催に集約されています。

Q:
祝賀会には小池百合子東京都知事もお見えになるなど、大変話題となりました。現在は理事長を勇退され、常任顧問として後進を支えておられますが、今後のパワーリフティング界に期待されていることを教えてください。

小森:
これからの10年は次代を担う若者の育成、選手基盤の強化、体協加盟を果たすべく大会運営実績を着実に積み重ねて行くことが肝要と思います。協会設立からパワーに燃える先人達(故人を含む)と共に駆け抜けて来ました。私としては40年でひと段落がついたと認識しております。しかし、まだまだパワーにかける情熱は持っています。他県協会も同じ悩みを抱えていると思われますが、ほとんどのトップ役員が高齢者になっています。これからパワー界の普及発展を担うものは30、40、50代の比較的若いやる気のある人たちであり、発見・育成が急務です。その旗振り役を荒川理事長にぜひやってもらいたいと思います。

Q:
今後のご自身の目標は?

小森:
今年で75歳になりますが今でも現役選手です。パワー3種目にこだわっており、週2回、体育館でトレーニングを続けています。いつかは世界マスターズに出場したいとは思いますが、MⅤ(80歳以上)の部まではまだ若いので(笑)、しばらく時間がかかりそうです。

写真

2000.8.27 パワーリフティング研修会/JPA3級審判員講習会開催(国立競
技場体育館)。
研修会では吉田進、因幡英昭、三土手大介ら日本のトップリフターが直接指導し、ディスエイブルコーナーは吉田寿子理事が担当、盛りがった。3級審判員試験も行なわれ、
JPAの浅間技術委員長(当時)が講師となり、17名が受験した。受講者は東京、関東
近辺のほか奈良、静岡、宮崎、福岡、大阪、愛知からも参加するなど大盛況だった。

2012.11.25 東京都大会での特別表彰。(駒沢オリンピック公園屋内球技場)
競技に先立ち、東京都所属の門馬孝、三浦浩、福島友佳子の3選手に特別功労賞が贈られた。門馬選手は88歳の日本最高齢の現役ベンチプレッサー(当時)、三浦選手はロンドンパラリンピックで日本代表として出場し48kg級9位を記録、福島選手は日本人で3人目、女
子では始めてIPF殿堂入りを果たされた。

メダル&トロフィー一つ一つに思い出が残る。

1985.3.17 第8回女子全日本パワー/第6回女子世界選手権代表選考会(東村山市民スポーツセンター)にて。 新橋トレーニングセンターコーチとして参加した。小森の隣は羽田久理事。

小森正昭(こもり まさあき)
1944年生まれ
日本パワーリフティング競技黎明期の1970年代から選手・運営役員として活動し、2000年から2018年まで18年間、東京都協会理事長としてパワーリフティング競技普及に尽力。2018年3月には東京都協会40周年記念式典を成功させ、理事長を勇退。現在は同協会常任顧問として次世代の理事を支えている。

★主な試合成績(下記含め40試合出場)
1980年 第5回東京都パワーリフティング選手権大会
60kg級 S137.5kg BP80kg DL170kg T387.5kg 3位(36歳)

1983年 第11回東京都パワーリフティング選手権大会
56kg級 T440kgで 優勝(39歳)

1984年 第12回東京都PL大会
56kg級 SQ170kg BP92.5kg DL195, T457.5kg 優勝(39歳)

1991年 第9回全日本マスターズパワーリフティング選手権大会
56kg級、トータル395kgで優勝(46歳)

2005、2006、2007全日本実業団パワーリフティング選手権大会
クラシック56kg級3連覇

インタビュアー&構成:樹田 弁太

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